朝、いつものようにソバをベッドのサイドテー
ブルに置く。
食べ終わる頃に、人肌温度の濡れタオルで顔を
自分で拭いてもらう順序だ。
母は、ソバを食べながらコーヒーを飲み。
美味しそうだ。
私なら、その組み合わせなら美味しくないと思う
のだが。
そこら辺が、私と母との味覚は違うようだ。
ヘルパーさんが来ない日曜日は、家内と交代交
代で母の食事を管理している。
弁当を配食してもらっているので助かる。
その弁当をだって母は、一人で食べる事が難しく
なってきているので日曜日以外はヘルパーさんを
頼んでいる。
それで日曜日の食事の介助をこちらでとなるわけ
だ。
食事の手伝うなかで、母は一口食べることに「旨く
ない」と眉間に皺を八の字にするのである。
しばらく、黙ったままで口を開こうとしないのだ「糖
尿病だから仕方が無い」といって、次の食べ物を口
に運び食べてもらうと黙ってしまう。
これじゃ、食事がいつまでたっても終わらないと焦っ
てしまう。
この焦る気持ちを抑え、にこやかな顔を作って母の
眉間にある八の字によせた皺を指でのばすようにす
ると、母は笑い出すのである。
母には、このジョークを効いたようだ。
ソバ、コーヒーと配食される弁当(糖尿食)しか楽し
みがなく、愚痴も出るのも仕方が無いかと思う。
春風するめ