数えているんだ...

 毎朝、いつものように母の食事とコーヒーに洗顔を
終えベッドに寝かせる。
「一息ついた」と、返事を求める。
「ついたよ」との返事を聞いて、腹筋運動を30回以上
を目標として始める。
この目標は、母には内緒だ。
足を上げたら、すぐ足をおろして良いと言って、一、二
と号令を掛けながらやっていく、一九回くらいになると
母は、辛くなって来たのか、パタンと足を上げないでし
まった。
「チョット休もうか」というと、五秒位してから足を上げ
だした。
二〇と数えていく、五?六回すると又足を上げるの止め
るので、「あと一五回だよ」といって、一から数え始める
のだ。
なぜ、そうするかというと三〇回以上腹筋運動をさせよ
うと下心がある。
ところが、母は、辛いのか「ダブって数えているよ」と指
摘するのだ。
「そうかい、ゴメンね」と「あと五回で終わりだから」と謝
っておく。
母は、いう「八八歳の年寄りに今更、運動しても何にもな
らない」とね。
私は、「その運動をするには、事情があるんだ」と、母に
話していないが、通事を良くする為の、腹筋運動さ。
三〇回以上させることが出来なかった。
頑張れ母さん。
そして、母さんごめんよ。

                           春風するめ