嫌な年寄りに

 今年の1月1日から13日以上も寒さが続いた。
こんなに、寒さも続くのが35年ぶりとか、ピンクレディーが
花盛りで沢田研二が「かってにしぃやがれ」でレコード大賞
とった年だそうだ。
こんな寒さも、昔はしょっちゅうだったと思ったが。
思い出す、それから20年遡(さかのぼ)って、小学生の頃か
な。
今は無いけど、赤平のズリ山にトロッコが山の頂に上り下り
する麓の雪を4月の半ばまであったような気がしたが。

そんな物思いにふけっていると、母が「土佐犬が、人を噛ん
だって、放し飼いにしていたらしいよ」というのである。
いつのニュースなのか分からないけど「そうかい、大変だね」
と返事した。
次の日も、その話を持ち出して「外出るときは気を付けてね」
と発展していくので、私も「気を付けるから」と適当に返事する。
このやりとりが、13日間続いた。

この状態だと永遠に問いかけられる気がしたので、「土佐犬は、
捕まえられて始末されたよ」ということにした。
母から土佐犬の話は、ピタッと無くなったのだが。
これで良いのだろうかと、疑問が残った。

身体のいうこと利かなくなった母の気になることを、適当に答え
て納得させた事と、私の物思いに耽(ふけ)るだけで、行動の無
い毎日。
この二つをどう判断したら良いのやら。
結論は、「嫌な年の取り方だよ」この一言に尽きるか。

                            春風するめ