帰宅する車のラジオからヘレン・メリルのユード・ビー・ソー・ナイス・ツウ・カム・ホーム・ツウが流れていた。
何の気なしに聴いていたが声に艶があって若々しく聞こえた。 やがてピアノ、ベース、ドラムの掛け合いに変わってしばらくしてトランペットが加わった。
そのトランペットを聴いてあっと思った。このトランペットの演奏者はクリフォード・ブラウンではないか。
そうするとこの歌はあの有名なアルバム、1955年録音のヘレン・メリル・ウイズ・クリフォード・ブラウンのアルバムに入っている歌だ。
それにしてもこのトランペットの演奏は凄い。なんて凄いテクニックだろう。完璧な演奏だ。 聴いているうちに目頭が熱くなり思わず天を仰いだ(運転中ごめんなさい)。
彼は翌年若干25歳で交通事故に遭って 亡くなっている。演奏テクニックは当時4歳年上のマイルス・ディビスより凄いと言われていた。 彼が長生きしていたら、ジャズ界の帝王マイルスとの関係はどうなっていただろうなどと、あれこれ考えながら家に着いた。
早速レコード棚を探すと大切に保管してあったLPを見つけた。
家のオーデオで改めて聴いてみたがもう先ほどの感動は 起らなかった。
感動は時と場所を選ぶものか。
夕食時に妻に感動した話をしたら、一言、「単に歳をとって涙もろくなっただけの話でしょ」。 人生黄昏