札幌にもようやく雪が積り年寄りには厳しい寒い長い冬に突入したが、少しだけ良いこともある。それは夏の間は閉め切った暑い部屋でパワーアンプから出る熱と戦いながら好きな音楽を聴くには体力を消耗し長時間聴くのは厳しかった。しかし今は部屋を暖めれば長い夜を音楽に浸りながら快適に過ごすことができる。
そんな訳で今日は普段あまり聴かないマーラーのLPレコードの交響曲を聴くことにしてレコード棚を探していたら大事に保管してあったそれが見つかった。
デビュー10年目の当時若手のジェームス・レバイン指揮するフィラデルフィア管弦楽団が演奏するマーラーのシンフォニーNO9で、このLPは1980年2月23日にハワイで購入したレコードである。
当時の物価は現在の1/3ぐらいだったと記憶しているが、LPの値段は今とあまり変わりなく、乏しい小遣では月1枚買うのがやっとで、マーラーのような2枚組が多いLPはなかなか買えなかったが、旅先での気持ちの高揚もあってか4~5枚のLPを買って大事に持ち帰った記憶がある。しかしこのマーラーのLPの他には何を買ったか全く覚えていない。
このLPだけ何故記憶に残っているかというと、帰国後このLPを聴いたとき、第一楽章を聴いて第二楽章を聴くためLPを裏返しにしたところ、なんと裏面は第四楽章になっていた。
びっくりして2枚目のLPを見たら第二楽章と第三楽章になっている。今まで買ったLPで第一楽章の裏面が第四楽章だったものはなかった。アメリカではこれが普通なのか。第一楽章を聴いて一旦LPを仕舞って二枚目を聴いてから又1枚目に戻るという面倒くさいことをやるのか。ひょっとしてレーベルの貼り間違いかとも思ったが、確かに裏面は第四楽章になっていた。
そうするとこれは珍品のお宝LPか。いやそんなことはありえないし聞いたこともないなどと、当時悩んだことを思いだしながら聴いていると廊下を隔てた向かいの部屋から、”うるさくて寝れないから音を小さくして” と、妻の怒鳴り声。 人生黄昏